AI参謀との作戦会議
エベレストを目指す私にとって、避けては通れない大きな壁がありました。 それは**「冬靴への恐怖」**です。
前回の冬山(北横岳)で味わった、小指が砕けるような激痛。 あの記憶がある限り、私は前に進めない。
👇「足が破壊された北横岳の悲劇はこちら」
私は参謀であるAI「Gemini」に、正直な恐怖を打ち明けました。

Gemini、聞いてくれ。正直、怖いんだ。 あの冬靴の痛みがまた出るかと思うと、山に行くのが億劫になりかけている。 でも、これで終わりにはしたくない。俺はどうしても、この「冬靴」を履きこなしたいんだ。

かつどんさん、その痛みは精神論では解決しません。 「なぜ痛くなるのか」という物理的な原因を突き止め、排除するしかありません。 これは「耐える」のではなく**「解決する」べき課題**です。

原因を突き止める……そのために、どうすればいい?

「実験」をしましょう。 場所は栃木県佐野市。ザックに水8リットルを入れて負荷をかけつつ、あえて『運動靴』と『冬靴』を使い分ける戦略を試してください。 そこで**「痛みが出ない歩き方」**のデータを取るのです。

分かった。逃げずに徹底的に検証してくる。 このトラウマ、今日で終わらせてやる!

その意気です。 ……あ、検証が無事に終わったら、ご褒美に『佐野ラーメン』の店も用意してありますよ。 まずは「完歩」してきてください。
こうして、私の**「冬靴リベンジマッチ in 佐野」**は幕を開けました。 今回のミッションは、根性試しではありません。 **「二度と足を痛くしないための『正解』」**を導き出すための戦いです。
なぜ小指が死んだのか? 徹底分析と3つの対策
前回の失敗から、私は冬靴の特性と自分の足の関係を徹底的に洗い出しました。 そして導き出した「痛みへの対策」はこの3つです。
1. 「極厚手神話」を捨てる(ソックスの変更)
「冬山だから一番分厚い靴下じゃないと凍傷になる」と思い込み、前回は極厚手のソックスを履いていました。 しかし、冬靴は構造上、革靴のように伸びて足に馴染むことはありません。分厚すぎるソックスは、靴の中で足を圧迫し、逃げ場をなくしていたのです。 そこで今回は、あえて**「厚手(ワンランク薄め)」**に変更。これにより、指先にわずかな「空間」が生まれました。
2. 摩擦を物理的にガード(テーピング)
冬靴は保温性が高いため、内部は想像以上に蒸れます。湿った皮膚が硬い靴の内側と擦れることで、マメや痛みが加速していました。 今回は、前回悲鳴を上げた小指に、出発前からテーピングを実施。「痛くなってから」ではなく**「痛くなる前に」保護する**。これが鉄則です。
3. 「空間」を作る紐の結び方
「緩んだら危険」と、前回は爪先から親の仇のように紐を締め上げていました。これが間違いでした。 今回は、爪先〜足の甲の前半部分を**「あえて緩め」**に調整。指が動かせるスペースを確保しつつ、足首部分だけでしっかり固定する方法に変えました。
家の中で一日中過ごす変な人
対策を立てたら即実行です。休日にこれらの調整(薄手靴下+テーピング+緩め紐)をして、家の中で一日中冬靴を履いて過ごしてみました。 掃除機をかける時も、テレビを見る時も冬靴。 結果、「これならいけるかもしれない」という手応えを掴み、いよいよ佐野での実戦テストへ向かいました。
いざ実戦! 佐野の山で試された戦略

テストの舞台は、栃木県の佐野。 今回は「水8リットル」という負荷をかけつつ、対策の効果を検証します。
さらに今回は**「アプローチシューズ作戦」**を採用。 登山口までの舗装路移動は運動靴を使用し、冬靴はザックに入れて運ぶ。 冬靴(両足約2.5kg)を背負うため、総重量は12kgを超えますが、これは「足裏の消耗を防ぐ」ための戦略的判断です。
開始30分で現れた「最初の敵」
登山口で冬靴に履き替え、歩き始めてすぐ、順調かと思われた足元に違和感が走りました。 「かかとが擦れる」 前回(北横岳)でも感じていた感覚です。運動量が増えて足が汗をかき始めると、湿った皮膚と靴の繊維が摩擦を起こし、熱を持つような違和感に変わります。
幸い、鋭い痛み(靴擦れ)にまでは至りませんでしたが、ここで私は**「靴の中を微調整しながら、違和感と付き合っていく」**モードに切り替えました。 完全に痛みをゼロにするのではなく、レッドゾーンに入れない管理能力。これが冬山には必要なのだと気付かされます。
真犯人は「衝突」ではなく「詰まり」
2時間が経過した頃、今度は右足の小指に違和感が出てきました。前回の古傷です。 しかし、冷静に観察してあることに気付きました。
これは靴の内壁に「当たっている」痛みではない。歩くたびに足が前方にスライドし、狭い爪先部分に**「詰まっている」**痛みだ。 前回の冬山ではアイゼンを装着し、前爪(フロントポイント)を蹴り込んでいたため、この「詰まり」が加速していたのでしょう。
原因が分かれば、対策は一つです。
現場で編み出した「かかとトントン」戦法
詰まりを解消するために私が実践したのは、極めてシンプルな動作。 「かかとをトントンして、足の位置をリセットする」
休憩のたび、あるいは信号待ちのたびに、靴のかかと側を地面に軽くトントンと打ち付け、足をヒールカップの奥に収め直す。そして紐を締め直す。 これによって爪先に**「生存空間(スペース)」**が復活します。
効果は劇的でした。 この「かかとトントン」を実施してからは、明らかに靴の中での足の居場所が安定し、小指の違和感は消滅。 痛みを我慢するのではなく、**「足の置き場を意識的に管理する」**ことで、トラブルを未然に防げるようになったのです。

佐野の山は「冬靴の実験室」だった

今回歩いたのは、諏訪岳から唐沢山神社を経て、浅間山へと至る縦走ルート。 低山ながら、このコースは驚くほど変化に富んでいました。
ふかふかの土、ゴツゴツした岩、張り出した木の根、足を取られるザレ場……。 まるで**「冬靴の総合試験」**のために用意されたような多彩な路面状況。
- 岩や根っこ: 硬いソールがどうグリップするか
- ザレ場: 足首のホールド感はどうか
色々な場面で足裏の感覚を徹底的に試すことができました。 ただの苦行トレーニングのつもりでしたが、佐野の山々の気持ち良さに、いつしか純粋な山歩きの楽しさを感じていました。 冬靴のテストには最高のフィールドです。

ご褒美:青ネギの海に溺れる

無事に下山し、冬靴への恐怖心も克服。「大満足!」と心の中で叫びながら駅へ向かっていると、視界にある看板が飛び込んできました。
「ネギラーメン」
その文字を見た瞬間、本能が反応しました。 疲労した筋肉が、枯渇した身体が、強烈にその味を求めている。迷わずその店、佐野ラーメンの名店**「太七(たしち)」**へ直行しました。
注文したのはもちろんネギラーメン。 着丼した瞬間、目を疑いました。麺が見えない。 どんぶり一面を覆い尽くす、鮮やかな青ネギの山。

まずはスープを一口。……染みる。 あっさりしているのにコクがある佐野ラーメン特有のスープに、シャキシャキのネギの香りが溶け込んでいます。 そして、不揃いなちぢれ麺(青竹打ち)のもちもち感。
13km歩いた身体への、これが最高のご褒美です。 「冬靴を克服した」という達成感というスパイスも相まって、間違いなく人生で一番美味しいラーメンの一つになりました。
まとめ(動画あり)

今回のトレーニングで、私は**「痛くない!」**という最大の収穫を得ました。 冬靴は「敵」ではなく、付き合い方次第で「頼れる相棒」になる。 そう確信できたことが、何よりの成果です。
【動画】今日の様子を40秒にまとめました
百聞は一見にしかず。 冬靴との格闘、猫との出会い、そして至高のラーメンをVlogにまとめました。 ぜひご覧ください!
エベレストへの道、また一歩前進です!
追伸:12kgの重りに「勝った」感覚
今回、実は冬靴の痛み以外にもう一つ、密かにガッツポーズをした瞬間がありました。 それは**「ザックの重さに、身体が負けなかった」**ことです。
今回の装備重量は、水8リットル+冬靴(アプローチ区間運搬)+その他ギアで、合計12kg〜13kgありました。 以前の私なら、この重量で平地ロードを歩くだけでも、後半には肩が悲鳴を上げたり、腰が落ちてペースダウンしていたはずです。
しかし今回は、最後の駅までの道のりまで、しっかりと足が前に出続けました。 背中の重みに振り回されることなく、体幹で支えきれた感覚。
「日々のランニングや筋トレは、裏切っていなかった」
靴の悩みが消え、基礎体力も向上している。 来週の谷川岳、そしてその先のエベレストへ向けて、身体のエンジンもしっかりと排気量が上がってきていることを実感できた一日でした。



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